それ以外にモデルハウス2棟の運営、事務所もかなり自然素材を感じさせる雰囲気にしています。
経理の妻からは「お金かけすぎじゃない? もっと節約して」と言われています。
でもこのくらいしないと、新規のお客さまは増えないと思います。
使いすぎでしょうか?
(工務店経営・年間完工棟数50棟・15億円・神奈川)
「広告宣伝費」ですね。
なかなか難しいところだと思います。
ここでは「費用対効果」という考え方を覚えましょう。
「コストパフォーマンス」とも言います。近ごろは略して「コスパ」とも言われます。
これは「かけた広告宣伝費に対して、どのくらい効果があったか?」ということです。
「効果」とは何でしょうか?
ここで考えたいのは、効果とは何か? ということ。
広告宣伝をしたことで売上が伸びたのか、いや、利益が増えたのか、それとも知名度があがった、言い換えればブランディングができたのか。
つまり、何をもって「効果」とするか、です。
一般的には売上や利益が上がること、あるいは短期的に集客数が増えること、などが考えられます。
御社の広告宣伝費は売上高の何%?
今回のお問い合わせでは、かけた費用は年間1,600万円、売上高は15億円とのこと。
つまり、1,600万円かけたことにより、15億円稼いだわけです。
そこで、売上高に対する広告宣伝費比率を出すと、1,600万円÷15億円=1.1%となります。
この数字が世の中一般の工務店の比率と比べて多いか少ないか、という指標は、一応成り立つと思います。
ここで「一応」と書いたのは、粗利益率、販管費率との相対比較で会社ごとに大きく違うためで、参考値程度と考えてください。
ものすごく一般論で言うと、営業黒字の会社であれば、売上高比率2%以内ならまあ良いのでは、と言えると思います。
モデルハウスと事務所をどう考えるか
さらに考えてみましょう。
御社の場合、モデルハウスが2棟、事務所も自然素材を見せるために大がかりな改装をしたとのこと。
これも見方を変えれば「広告宣伝費」となります。
何のためにモデルハウスを持っているのか? を考えてみてください。
集客のため、ランクアップのため、契約のため、ひいては売上のため、ということであれば、立派な「広告宣伝のための手段」です。
広告宣伝費に加算してみると…
モデルハウスの原価が分かりませんが、仮に1棟2,500万円とします。2棟で5,000万円。
また事務所の改装費が1,000万円とします。
モデルハウスの償却年数は7年です。
(このことをご存じない税理士さんもいらっしゃるので、モデルハウスをお持ちの工務店さんは、税理士先生に確認されることをおすすめします)
ざっと計算してみると、モデルハウスは2棟で5,000万円÷7年=714万円。
改装費の減価償却費は仮に10年として、1,000万円÷10年=100万円。
よって、モデルハウスと改装費の減価償却費の合計は、年間814万円。
つまり、広告宣伝費が別に814万円かかっていることになります。
御社が計上している広告宣伝費の1,600万円に、この減価償却費814万円を合計すると、2,414万円となります。
費用対効果を計算してみると、2,414万円÷売上高15億円=1.6%となります。
元は1.1%でしたから、仮の計算ですが0.5%上乗せされました。
さらに、モデルハウスの接客のパートさんなども雇っていれば、その人件費も広告宣伝費と見ることができそうです。
広告宣伝費は他にもかかっているかも
DM(ダイレクトメール)に使う郵送費(郵便局や宅配便など)は通信費に仕訳されていることが多いのですが、これも本来は「広告宣伝費」です。
こうして見ると、広告宣伝費はチラシやポスティング、ホームページなどにかかる費用だけではないということが分かります。
使いすぎかどうかだけではなく、費用対効果をしっかり検討した上で、予算を決めて管理することをおすすめします。
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