何に注意すればいいでしょうか?
(66歳・工務店・徳島)
一般的に、構造見学会は完成見学会ほどの集客は見込めません。
それでも、集客チャンスの少ない工務店さんの場合、構造見学会と完成見学会、2度のチャンスを有効に活用したいものですね。
特に、お客さまに対して「うちの建物は耐震性と断熱性に優れています」などと性能を説明している社長さんにとっては、それを実証する良い機会でもあります。
構造見学会をどの段階で行うか
まず最初に、構造見学会をどの段階で行うかを考えていきます。
例えば、上棟した状態でも構造です。
ただ、壁が張られてサッシも入ると、あまり「構造を見る」感じはなく、できることも限られてきます。
ですから、「お客さまに何を見せるか」を考えたうえで、見学会の時期を検討します。
検討するための主なポイントを3つ挙げます。
工法や工程・段取りによっても違うとは思いますが、参考にしてください。
(1)断熱材が入っている状態
断熱材が入っていれば、冬場でも夏場でも、断熱性能を実感できます。
壁を張る前、断熱材が目に見える状態がベストです。
外張りでも吹付けでも充填でも、断熱の方法が見えれば良いでしょう。
(2)基礎、基礎パッキン、基礎と土台の間の免震装置などが見える状態
これは見せ場をどこにするかにも関わってくるのですが、今はやはり、お客さまも耐震性が一番気になるところだと思います。
基礎の部分がどうなっているか、そして地震への対策・構造が見えることが重要です。
(3)設備ものがあまり入っていない状態
設備ものが入ってくると、材料や機器が屋内に山積みになったりします。
そのため、見学会を行っても、立ち止まって説明する場所がないことがあります。
2階に上がれない場合は特にスペースが限られてしまいます。
このようなことも踏まえて、自社ではどの段階で構造見学会をするのが良いか、あらかじめ計画を立てておきましょう。
構造見学会の前に準備しておきたいこと
では、構造見学会にあたり準備しておきたいことを順に見ていきます。
1.完成予想パース
パースは、現場看板や見学会のチラシなどに活用します。
建築中の現場を見ても、お客さまは完成したらどうなるのか想像がつきません。
パースがあれば「こんな家を作っているんだ」とイメージがわきます。
そして「これは素敵だな」「自分の家ではこうしたい」などと想像を広げるきっかけにもなります。
できれば、CADやCGではなく、手描きパースをおすすめします。
手描きは目を引くので、効果が高いからです。
2.構造見学会用のチラシ
チラシのタイトル
チラシのタイトルは、「新築現場見学会」としましょう。
構造見学会であっても、「構造」と付けると、集客力は弱くなる傾向にあります。
難しいイメージを与えてしまうからかもしれません。
チラシのコピー(添える文章)
「普段は見ることのできないところがご覧いただけます」など、構造は今しか見られないことをアピールします。
また、お客さまはモデルハウスや完成見学会でも、素敵なキッチンやインテリアなど内装に目がいきがちです。
でもお客さまを守ってくれるのは、おしゃれなインテリアではなく「家そのもの」です。
そこで、「構造があなたを守ります」「あなたを守ってくれる構造、見てみませんか」という呼びかけも良いと思います。
さらに家は構造にお金がかかっているわけですから、「なぜ弊社の家が高いのか、理由をお見せします」といった方向からのアプローチでも良いのではないでしょうか。
3.構造の見せ場を「見える化」する
耐震や断熱の構造などを分かりやすく「見える化」して演出します。
性能の良さを理解するには、「目で見る」「体感する」のが最も効果的だからです。
地震対策を見せる
今は、耐震・免震・制震(制振)についても住宅雑誌などに載っていますし、お客さまも勉強しています。
構造躯体の中でも特に、地震対策がどうなっているかを見せたいものです。
筋交いや制振ダンパーは見て分かりやすいですね。
火打ち金物、ホールダウン金物なども良いと思います。
それぞれどのような役割を担っているかを説明すると、納得していただけます。
断熱性能を見せる
断熱材が見える状態なら、基本的にはサッシが入っていて、ある程度の気密は取れていると思います。
もしグラスウールなどで気密が取れていなくても、特に長期優良認定を取得するような工務店さんならば、それなりの断熱性能を確保しているはずです。
であれば、多少の隙間風があったとしても、真冬でもストーブ1つでまあまあ暖かくなると思われます。
そこで、冬の「断熱性能の見せ方」を一つご紹介します。
<断熱性能が実感できるトーク例>
できれば、夕方16時~17時くらいまでお客さまに滞在していただきます。
帰る頃には真っ暗です。
お客さまが外に出ると、「あー、外は寒いね」となります。
その瞬間にすかさず「そうなんです。構造の状態でも、中はストーブ1つであんなに暖かかったんですよ」と声をかけます。
これはかなり効果的です。
断熱性能は、説明を聞くよりも、寒さや暑さを体感すると一番よく分かるからです。
気密試験を見せる
気密試験ができるようであれば、行いましょう。
C値が1.0以下なら、気密測定機をONにすると、玄関ドアを開けるのが大変になるはずです。
それをお客さまに体感していただくと、驚いたり喜んだりしていただけます。
あまり普段できない体験ですから価値があります。
構造見学会は建物の良さを知ってもらうチャンス
構造見学会は、自社の建物の性能を見てもらう・知ってもらうチャンスです。
工務店さんは見えないところにコストと手間をかけていますが、建物が完成してからでは伝わりづらいですよね。
構造の状態を見てもらうのはとても有意義だと思います。
お客さまにとっても、建物の良さを知る上では完成見学会よりもためになるものです。
ぜひ、工夫を凝らし成功させましょう。
なお、完成現場見学会を行う際のポイントは、特集ページをご参照ください。
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