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【102】工務店のSDGsとは何なのか。自社には必要?ざっくり解説

Q最近「SDGs」という言葉をよく見かけます。
先日は住宅業界誌に特集されていました。掲載されている工務店を見たら、随分先端のことをやっているように見えました。
しかし工務店がSDGsに取り組むのはハードルが高いのですが、どう思われますか?
(工務店経営・62歳・兵庫)

A確かに最近、毎日のように新聞やテレビで「SDGs」の話題が出ていますね。
「SDGs」は、「エス・ディー・ジーズ」と読みます。

Sustainable Development Goals の略で、「持続可能な開発目標」のことです。
先進的な工務店さんの中には、すでに取り入れるところも出てきています。
 

SDGsは2030年までの国際目標

SDGSとは何?

SDGsは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で、2030年までに達成をめざす国際目標です。

この目標は17のゴール、169のターゲットから構成されています。
17の目標に対し、それぞれに具体的な目標(ターゲット)が設定されている、というわけです。

おおまかな概要は、外務省のSDGs取組紹介ページに掲載されています。
参考 JAPAN SDGs Action Platform -外務省
 

17のゴールとは?

上記外務省のサイトに掲載されている、17のゴールを見てみましょう。

1. 貧困をなくそう
2. 飢餓をゼロに
3. すべての人に健康と福祉を
4. 質の高い教育をみんなに
5. ジェンダー平等を実現しよう
6. 安全な水とトイレをみんなに
7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
10. 人や国の不平等をなくそう
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう
15. 陸の豊かさも守ろう
16. 平和と公正をすべての人に
17. パートナーシップで目標を達成しよう

なかなか大きなテーマになっていますね。
国や民族間の格差をなくす目標に対しては、今すぐ何ができるのか難しい気もします。

それでも、
7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
11. 住み続けられるまちづくりを
などは私たちに身近で、工務店の仕事に結びつけることができそうです。
 

そもそも SDGs って何?

まずは「SDGsとは何か」をざっくり理解しましょう。
 

「MDGs」からつながっている

SDGsの前には「MDGs」というものがありました。
Millennium Development Goals の略で、「ミレニアム開発目標」のことです。
これは、途上国の開発を先進国が支援する、といった内容のものでした。

このMDGsが2015年に終了し、その反省も踏まえて後継のSDGsが設定されました。

SDGsは、MDGsと違い「支援される側」「支援する側」が分けられていません。
途上国も先進国も、すべての国が共通して取り組む目標とされています。
 

自分と何か関係があるのか?

確かに国際目標ですから、国や国際機関などが行うもの、と思いがちです。

しかし、SDGsは、企業はもちろん、「世界中のすべての人」が取り組むことが求められています。
したがって、私たち一人一人に関係があるのです。
 

企業としての考え方は?

SDGsは、すでにビジネスの世界では共通言語となってきています。
投資の条件として、収益だけを見るのではなく、SDGsつまり環境問題や社会問題に取り組んでいるか、も考慮されるようになりました。

また、今までは「儲けたら、そのお金で世の中に貢献しよう」という考え方が主でした。
そのため、どちらかといえば本業と関係のない社会貢献も多くありました。

これに対し、SDGsは「自分の事業で収益を上げながら、みんなで世の中を良くしていこう」といった考え方です。
 

中小企業には難しいのでは?

例えば、節電や節水でも、「6. 安全な水とトイレをみんなに」や、「7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに」につながります。

基本的に、企業が行う活動、さらには私たち個人が行う活動すべてが、何らかの形でSDGsとつながっているのです。
シンプルに、「今できることをする」で良い、と考えてみてはいかがでしょうか。

「持続可能な企業」となることが、SDGsへの取組でもあります。
まずは、今まで「自分とは関係ない」と思っていたような社会の動きに関心を持つことから始めましょう。
 

SDGsの概要や取り組み方を知る

詳しくは、環境省のSDGs推進ページをご覧ください。概要が分かります。

参考 持続可能な開発目標(SDGs)の推進 -環境省
このページに、以下の活用ガイドが掲載されています。(リンクを修正しました。2020.10)

<概要版>
持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド(概要版)第2版 -環境省(PDF:971KB)
SDGsとは何か、基本的な概念を説明しています。初めての方はまずここから。

<本編>
持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド(本編)第2版 -環境省(PDF:3.8MB)
13ページから、中小企業の取組の事例も載っています。
21ページの<SDGsとの紐付け早見表>が分かりやすくまとまっていると思います。
自社でできることを検討してみてはいかがでしょうか。

<資料編>
持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド(資料編)第2版 -環境省(PDF:8.6MB)
17のゴールと169のターゲット、内容がすべて掲載されています。事例紹介もあります。
 

工務店は何に取り組む?

皆さんも、ZEHや長期優良住宅に取り組まれていることと思います。
SDGs的に見れば、すでに取り組んでいる、とも言えます。

そこで、外務省のSDGs取組紹介ページで、取組事例→「7」を見てみましょう。
参考 7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに -外務省

ここには、SDGsに取り組んでいる企業の一覧が出ています。中には工務店もあります。

とりあえず、どこかの企業名をクリックしてみましょう。
すると、取組に関する内容がざっと出てきます。
 

工務店ではZEHやLCCM、BELSが多い

ちなみにSDGsに取り組んでいる工務店の場合、ZEH住宅化は多く見られます。

さらには、LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス住宅)、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)などの認定を受けている、あるいはこれから受けるといったものが多いようです。

国土交通省のサイトに、ZEH等支援の補助金について掲載されています。
参考 ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅関連事業(補助金)について -国土交通省
※年度が変わると内容が変わる可能性がありますのでご注意ください

LCCM住宅に関しては下記をご参照ください。認定制度についても載っています。
参考 LCCM住宅(ライフサイクルカーボンマイナス住宅)に関する研究 -(社)日本サステナブル建築協会

BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)については下記をご覧ください。
参考 建築物省エネルギー性能表示制度について -(社)住宅性能評価・表示協会
 

SDGsへの取組は積極的に

SDGsの入り口は以上のような感じです。

まずは全17項目に目を通して理解を深め、「自社ならどのような取組ができるか」をスタッフ全員で検討してはいかがでしょうか。

それを自社の事業計画にまで落とし込みができれば、現実的な内容になると思います。

また、これらの取組を自社ホームページに掲載することで、先進的な活動に取り組んでいる」という企業ブランディングにつながります。

早めの取組をおすすめします。


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間瀬 隆司
工務店経営の専門家。集客・営業、人材教育・組織づくり、経営計画、資金繰りを含めた「全ての面倒をみる」スタイルのコンサルティングで、工務店さんを支え続けて30年。工務店のほぼすべてを知り尽くしており、駆け込み寺的な役割を果たしています。神奈川県横浜市在住。海を見るとホッとします。
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