手っ取り早く見込み客と会う方法はないでしょうか?
(工務店・50代・千葉)
はい、「手っ取り早く」というお気持ちもよく分かります。
特にこのコロナ禍では、お客さまの動きも今までとは違ってきています。
個人的には、工務店社長の最も重要な仕事は、「新規の見込み客と出会う方法」に徹底的に取り組むことだと考えています。
つまり「集客」です。
集客は、片手間でできるものではありません。集中して取り組みましょう。
地域に根差す工務店(地場工務店)の強みとは?
今般のコロナ禍は、リーマンショックよりも大きな不況になると予想されています。
しばらくは新築の需要も減少すると思われます。
おそらく直撃を受けるのは、ハウスメーカーとマンション関係です。
地域に根差している工務店にも影響はあるものの、それほど大きくはないと思います。
それは、まさに「地域に根差している」からです。
例えば、OB施主さま(過去に引渡しをした施主さま)にご紹介をいただく、というのが最も分かりやすいと思います。
あるいは協力業者さんにご紹介をいただく場合もあるでしょう。
ご紹介のお客さまは、契約確率も高く、しかもあまり手間もかかりません。
つまり、ご紹介は最も強力な営業手法です。
地場工務店の強さとは、この「ご紹介をいただける」ことなのです。
御社の中にも「見込み客」はたくさんいる
そこでコロナ禍では、まず「過去のお客さまからご紹介をいただく」という営業が考えられます。
御社には、顧客リストは何件くらいありますか?
お客さまが社内に埋もれているかも
ここでありがちなのが、「過去のお客さまリスト、顧客リストがない」ケースです。
「社長の頭の中にはある」とか、「年賀状は毎年送っているから、年賀状作成ソフトには顧客データが入っている」といった話をよく伺います。
コロナ禍の今、この機会に、自社のお客さまは何件あるかをしっかり整理してみましょう。
実は御社にも見込み客はたくさんいるはずです。
ただ、目に見える状態になっていないだけ、かもしれません。
顧客リストの整理方法
「顧客リスト」と一口にいっても、いくつかに分類できます。
(1)「新築顧客リスト」…新築の施主さま(OB客)のリスト
(2)「リフォーム顧客リスト」…リフォーム工事をしたお客さまのリスト
(3)「業者様その他リスト」…業者さんその他のリスト
(4)「見込み客リスト」…問い合わせがあったお客さまのリスト
そこで顧客リストを整理・作成します。
1.顧客データを探す
まずは顧客データを探し出します。
どこにあるのか? おおむね下記のようなところが考えられます。
■ 年賀状作成ソフト
■ 見積用ソフト
■ 見積書そのもの(リストになっていない)
■ 請求書そのもの(リストになっていない)
■ 社長や各スタッフのメールソフト
■ 社長や営業マン、スタッフの引き出しや頭の中
この他にも、各スタッフが個人で作成しているリストもあるかもしれません。
意外なところで見つかることもあります。社内を探してみましょう。
2.データを集める
ソフトに入っているデータは、CSVファイルに集めます。
(注意)CSVファイルは、一度Excelファイルとして保存し、そこから加工します。
営業マンや工事監督などが個別に持っているメールソフト内のデータも、Excelにまとめます。
また見積書や請求書は一旦コピーを取り、仕分けをしましょう。
あとでリストに入力します。
社長やスタッフの頭の中は、とにかく書きだします。
仕事は無料でやった、名前も分からない、というようなお客さまでも、Googleマップや住宅地図等で名前と大体の住所を調べます。
3.顧客リスト台帳をまとめる
データが集まったら、先ほどご紹介した「新築顧客リスト」「リフォーム顧客リスト」「業者様その他リスト」「見込み客リスト」の4分類に仕分けし、統合していきます。
リストの内容は以下を参考にしてください。
新築顧客リスト
・Excelで、縦に顧客名を配置する。
・横に並べる情報
ご主人の氏名(契約者名)、郵便番号、ご住所、電話番号、携帯番号、PCメールアドレス、スマホメールアドレス、SNS(LINEやInstagramなど連絡の取りやすいもの)、契約年月日、引渡し完了日、最終完工高
リフォーム顧客リスト
メールアドレスまでは新築と同じです。追加で以下の内容を入力します。
工事内容、竣工日、工事代金(リフォームの場合は工事内容、竣工日、工事代金を繰り返す)
業者様その他リスト、見込み客リスト
上記を参考に、分かっているものを入力します。
顧客リストをまとめるときの注意点
完全でなくても良い
リストは完全を目指さないことです。どうしても不明な情報はあります。
まずは世帯主のお名前を基準にして、住所と電話番号、メールアドレスは整理したいところです。
並び順、重複に注意
項目はソフトによって並ぶ順番が違ってきます。
また表現が違うこともあります(例えば「氏名」と「名前」)。
統一する作業は注意が必要です。
新築、リフォーム両方うけたお客さまはどこに分類する?
最初にうけたほうのリストに入れると分かりやすいでしょう。
リストの管理方法は?
リストは個人情報となりますので、慎重な管理が必要です。
基本的には、メインのパソコンを決めてデータを保存します。
なお、社内の重要なデータは、Googleドライブや、Dropbox(ドロップボックス)などのクラウドサービスを利用することをおすすめします。
メインのパソコンに不具合が出ると、データが見られなくなる可能性もあります。
念のため、バックアップをしておきましょう。
顧客リストを営業に活用する
顧客リストが整理されていると、色々なことに活用できます。
点検、お誕生日、引渡し記念日など
OB客のご紹介は、新築のお客さまからが最も多いと思います。
お引渡しから数年は、ご紹介をいただける時期です。
この間に色々なきっかけでお客さまのところに訪問することで、ご紹介をいただきましょう。
リフォームのご案内
お引渡し後10年以上のお客さまには、リフォームのご案内ができます。
これも定期的なものがいいでしょう。
毎月発行する定期レター
いわゆる「○○工務店 かわら版」や、レター的なものです。
A3サイズを二つ折りにして、4ページ立てにするようなイメージです。
非常に効果的ですが、これを毎月作成するのは本当に大変です。
定期点検の案内や定期レター作成を統合的に扱っている企業もありますので、依頼しても良いでしょう。
DMハガキ
きれいな写真やイラストが載っているハガキを、DMとして使います。
リフォームの場合、DMは奥さま宛に送ります。
そこで、奥さまに好まれそうな写真やイラストを選びます。季節感があるといいですね。
これをキッチンや居間に貼る方が多くいます。何か困ったときは連絡がきます。
なお、ハガキには、自社ホームページにつながるQRコードをつけると効果があります。
QRコードは簡単に作成できますので試してみてください。
DMハガキの作り方は、第56回で詳しく取り上げていますのでご参照ください。
まずは顧客リストをまとめてみましょう。
次の手が打ちやすくなります。
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