最近はまた仕事が戻ってきたのですが、仕事がない時のシワ寄せが出て、ここ2~3か月、資金繰りが苦しい状態になっています。
銀行に融資をお願いしましたが断られ、税理士の先生にも有効な助言がもらえません。
何とかなるでしょうか?
(工務店経営・65歳・千葉)
はい、もちろん何とかなります。
一時期仕事が減ると、普通の状態に戻るまで、半年から1年くらいかかってしまうものです。
したがって、きちんとした「資金繰り」をつかむことが大切になります。
「資金繰り」は社長の大切な仕事です
「資金繰り」とは、
・いつ、どこから、いくら入り
・いつ、どこに、いくら支払うか
をまとめ、いくら残るかをチェックすることです。
そもそも「資金繰り表」は作られていますか?
作っていない会社も案外多いものです。
「いや、経理担当に任せている」とおっしゃる社長もいます。
「資金繰り表を作る」ことは担当者に任せてもかまいません。
ただし、「資金繰り」自体は、社長の仕事です。
現在の状況をつかむために「資金繰り表」を作る
「資金繰り表」には、3種類あります。
■ 日々の資金繰りを見る「日繰り表」
■ 毎月の資金繰りを見る「月次資金繰り表」
■ 事業計画などに使う「年次資金繰り表」
まずは「日繰り表」を作り、俯瞰します。
作り方は、第8回で取り上げていますのでご参照ください。
さらに「月次資金繰り表」を作ります。
そして、資金が不足しそうな月をチェックします。
資金繰り表の作り方がよく分からない場合は、担当の税理士先生に確認してください。
具体的な資金繰りの改善方法
いつ資金が不足しそうなのかが分かったら、対策を考えます。
今回ご紹介する方法は、対症療法です。
(対症療法とは応急措置のこと。短期的には改善するが、体質転換しないとまた同じ状態になります)
「銀行に運転資金を借りる」という方法もありますが、これは体質転換をしていないと、後でさらにきつくなります。
そこで今回は「入金を早くし、支払を延ばす」方法をご説明します。
それぞれ半月改革すれば、合わせて1か月分になり、当面の資金繰りは改善します。
入金を早める
例えば新築で「契約時10%、上棟時20%、引渡時70%」という場合があるとします。
このルールを「契約時10%、着工時30%、上棟時30%、引渡時30%」などに変更する方法です。
リフォームならば、「100万円以上の仕事は、契約時30%、完工時70%」にするなど。
これを行うだけで、かなり改善します。
支払を延ばす
これは取引先との関係によるので、丁寧に行う必要があります。
従来の支払条件が月末締めの翌月末支払であれば、翌月10日にする、という感じです。
これを行うときは、きちんとした書面を用意します。
そして、社長自ら取引先に足を運び、丁寧にお願いすることが大切です。
資金繰り改善は、多少時間がかかりますが、必ず良くなります。
焦らず、今できることをしていきましょう。
税理士さんがアドバイスをくれないのはなぜ?
なお今回のような「税理士さんが資金繰りのアドバイスをくれない」というご相談を時々いただくことがあります。
それについて少し考えてみます。
税理士さんの仕事とは?
税理士さんから資金繰り表の作り方は教えていただけると思います。
ただし資金繰りの改善に関しては、経費の削減を勧められるくらいでしょうか。
それは、資金繰りのアドバイスは税理士さんの専門ではないためです。
税理士さんの本来の仕事は会計業務です。今までの数字を整理し、納税を促します。
簡単に言えば、「お金をどう使ったか」という過去を見ています。
ですから「これからどうすれば良いか」といった未来のことについては、専門外になってしまうのです。
もちろん、視野の広い先生はいらっしゃいますし、親身になって話は聞いていただけると思います。
ただ、工務店の仕事の詳細を把握していないことと、工務店の資金繰りの実際を体験していないことで、工務店さんが望むようなアドバイスにはなりにくいのかもしれません。
税理士さんとコンサルの違い
私どものような財務を見るコンサルタントは、税理士さんから出された数字や、社内でまとめられた数字を拝見します。
そして、「今後どうなるか」「どう対策していくか」を考える仕事をしています。
ざっくり言えば、
■ 税理士さんは「過去の数字」を見る仕事
■ コンサルタントは「未来の数字」を予測し、改善策をご提案する仕事
といえます。
このような得意分野の違いがあります。
顧問税理士さんがいらっしゃる場合はご協力をいただき、一緒に仕事することもしばしばです。
工務店の資金繰りの改善方法については、今後もこのサイトで取り上げていきますので参考にしてください。
また、お困りのことがありましたらいつでもご連絡ください。
この記事に関するご質問・ご感想・お問い合わせは【工務店経営の専門家・ジクージン】まで、お気軽にお送りください。