第98回記事の続きです。
初回面談
初回面談とは?
初めて来られたお客さまに会い、現在の状況を聞き取ることを「初回面談」といいます。
お客さまからすれば、「この会社はどういう会社なのか」「信頼できるのか」「自分に合うのか」。
工務店としては、「自社で家を建ててくれるお客さまなのかどうか」。
双方ともに、話をしてお互いに理解を深めながら、確認をする場面です。
互いに真摯に向き合う
家づくりは、お客さまが今までに払ったことのない「けた違い」の高額な買い物です。
当然、工務店側は、それに応えるよう誠意を尽くして仕事に取り組みます。
どちらも真剣です。
お客さまは、家づくりは初めての経験ですから、分からないことがたくさんあります。
工務店は、それにひとつずつ丁寧に応えることから始まります。
そしてご要望に対して、予算を考えながら建築的にできること・できないことを説明し、逆にご提案をするのが、工務店の仕事です。
お客さまは、その対価を支払うのです。
お客さまと工務店は対等です
つまり、家づくりは、お客さまと工務店が対等な立場で進めるものです。
どちらが上か下かというような関係ではないと考えています。
必要以上に媚びる必要もないと思いますし、上から目線はもちろん違いますね。
工務店の社長が50歳のベテランで、お客さまは30歳であっても、当然対等な関係です。
ですから、相互にリスペクト(尊重)することが大切です。
初回面談で聞き取る内容
聞き取る内容は、第84回の「基礎情報シート」でご紹介していますので参考にしてください。
初回面談の目標
初回面談の目標は、次の5つとなります。
2. 建築予定地の有無を確認する
3. 真の予算を把握する
4. 家づくりの考え方や問題意識を聞き取る
5. 次回につながる約束をする
順に見ていきます。
1. お客さまの家づくりの進捗状況を確認する
家づくりの進捗状況ごとの接客方法については、第78回で取り上げています。
お客さまの進捗状況を確認する方法
お客さまの進捗状況を確認するには、「他社を見てこられたかどうか」を尋ねると良いでしょう。
「ハウスメーカーさんの展示場は、もう見てこられましたか?」
「どこかいいところはありましたか?」
などと、そのまま聞いてしまって良いと思います。
お客さま:「少し前に、○○総合展示場に行ってきました」
スタッフ:「いかがでしたか?」
お客さま:「○○ハウスは良かったけど、○○ホームは合わないかな。すっごく営業くるんですね」
このような会話になれば、ある程度検討されている中級のお客さまだということが分かります。
2. 建築予定地の有無を確認する
当たり前なのですが、家づくりに絶対必要なのが「土地」です。
現場見学会で自社の説明をし、会話が盛り上がって良い雰囲気になることがありますね。
しかし、そこで「実は土地がありません」となると、話が変わってきてしまいます。
したがって、接客の初期段階で、土地の有無を確認するようにします。
3. 真の予算を把握する
「真の予算」とは、「いくらまでなら無理なく家を建てることができるか」という上限の金額をいいます。
「がんばれば出せるかも」というのは、予算ではありません。後々お客さまを不幸にしてしまうだけです。
ローンを組む場合は「いくら借りられるかではなく、いくらなら返せるか」を考えます。
「資金計画の重要性」を伝えることが大切
しかし、年収や自己資金の話は、なかなか切り出しにくいですね。
いきなり資金について聞かれるのは、お客さまもあまり快く思わないものです。
少し会話を楽しみつつ、いろいろな話をする中で、資金の話もできるような流れを作ります。
そこで「資金計画の重要性」を伝え、お客さまに真の予算を考えていただきます。
真の予算の話につなげるために、自社の標準プランを使う方法もあります。
第33回でご紹介しています。
なお、資金計画を確認しないまま、無料でプランを描くのは、おすすめしません。
契約につながらない可能性が高くなるためです。
真の予算を把握せずにプランを描く悲劇
見学会の接客でよくある失敗は、「お客さまのご要望だけを聞いて盛り上がってしまうケース」です。
奥さま:「リビングは広いといいですよね。子どもも遊べるし」
スタッフ:「そうですね」
ご主人:「お風呂は大きいほうがいいなあ」
スタッフ:「わかりました」
このような会話で作られたプランは、お客さまのご要望をほとんど満たしてしまうプランとなります。
当然、お客さまは喜びます。夢のマイホームがすぐそこです。
しかし、見積を出したとたんに、お客さまのテンションは下がります。
「えっ。こんなにかかるんですか?」
この結果、お客さまの取る行動は、次のどれかとなります。
(1)値引を要求する
(2)無理な借り入れをして、ローン地獄に陥る
(3)もっと安い工務店を探す
(4)新築をあきらめる
いずれにしても、工務店側に良い結果とはなりません。
お客さまを悩ませてしまううえに、時間をかけて描いたプランもプレゼンも、全く報われないものになります。
ですから、「真の予算」を把握することが、お客さまにとっても、工務店さんにとっても、重要になるのです。
プラン提案については、第19回もご参照ください。
第100回に続きます。
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