中国武漢で発生した新型コロナウイルスの感染は、中国国内では終息の方向に向かい、すでに湖北省の工場は多くが操業再開しているとの情報もあります。
一方で、欧米各国はパンデミック宣言もあり、世界経済に大きな影響を及ぼしそうです。
日本でも目まぐるしく状況が変わっています。住宅業界にも様々な影響が出ています。
この記事では、工務店で起こっている問題や対応策について取り上げます。
(※随時、情報を追加しています。最新の情報をご確認ください)
・新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ(PDF) -経産省
・持続化給付金の支給が始まっています。(2020.05.08)
・セーフティネット保証5号の追加業種、雇用調整助成金の特例措置を追記しました。(2020.04.13)
・当面の営業方針-工事現場の新型コロナ対策を追記しました。(2020.04.12)
・日本公庫等の既往債務の借換、生産性革命推進事業を追記しました。(2020.04.12)
・工務店のための無料経営相談 特設ページを開設しました。(2020.04.04)
・当面の営業方針-3つの密を避けた営業・ネット集客を追記しました。(2020.03.28)
・当面の営業方針-工務店に見学に来られるお客さまへの対応を追記しました。(2020.03.21)
・危機関連保証、商工中金の危機対応融資を追記しました。(2020.03.20)
・国の資金繰り支援策について情報を整理しました。(2020.03.15)
・セーフティネット保証5号の追加業種を更新。建築工事業などもあります。(2020.03.14)
・完了検査とフラット35に関する参考リンクを追記しました。(2020.03.14)
・都道府県、各自治体による資金繰り支援を追記しました。(2020.03.13)
・新型コロナウイルス感染症特別貸付を追記しました。(2020.03.11)
・四半期別GDP速報の2次速報値が発表、下方修正されました。(2020.03.09)
・セーフティネット保証5号の追加業種を更新しました。(2020.03.06)
なお、私どもでは現在、無料経営相談も行っています。
工務店経営について気になることは、コロナの影響の大小にかかわらず、この機会に何でもお尋ねください。
詳しくは、無料経営相談 特設ページでご案内しています。
これまでの国内の現状
すでに景気後退局面に入っていた
令和2年2月17日内閣府発表の第三四半期のGDP速報によると、年率換算▲6.3%という大幅なマイナス成長となりました。
令和2年3月9日の2次速報値では、年率換算▲7.1%と下方修正されました。
その大きな要因は内需の低迷です。これは消費税増税の影響であるとはっきり言えます。
参考
四半期別GDP速報 -内閣府(PDF)
さらに今冬の暖冬で、アパレル業界、食品業界は直撃を受けています。
国内経済は完全に景気後退局面に入ってきていました。
新型コロナが追い打ちをかける
そこに今般の新型コロナウイルス問題です。
住宅業界への深刻な影響は、中国に製造を任せている多くの国内メーカーの部品や製品が入荷しないことです。
それにより国内での組立ができない、そのため完成品を出荷できない、という事態が起こりました。
※2020年4月末現在、納入は徐々に再開されているようです。商品によってはまだ入荷の目途が立たないものもあるようです。
さらに日本は中国・韓国などに対し入国制限を行っています。
逆に、日本からの入国制限を行っている国も多くあります。
詳しくは外務省海外安全ホームページをご覧ください。
参考
外務省 海外安全ホームページ
ヒトの行動制限は、物流に大きな影響を与えます。
部品や製品の入荷遅れが、今後さらに長引くことが懸念されます。
新型コロナの住宅業界への影響と救済措置
1.完了検査について
各指定確認検査機関に対し、一部設備品が未設置の状態であっても完了検査を実施するよう、国土交通省より通達が出ています。
参考 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う建築設備の部品供給の停止等への対応について(令和2年2月27日付) -国土交通省(PDF:697KB)その他、国土交通省から出されている建設業関係の通知もご参照ください。
参考
新型コロナウイルス感染症対策 -国土交通省
2.フラット35について
独立行政法人住宅金融支援機構からも、フラット35について下記の通知が出ています。
参考 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う建材・設備の部品供給の停止等への対応に関するお知らせ -独立行政法人住宅金融支援機構(PDF:179KB)3.各メーカーの納品状況
各メーカーの状況は、各社のホームページに掲載されています。
取扱の問屋さんからの情報も、細かく確認するようにしましょう。
工務店は資金繰り悪化をどう乗り切るか
国の緊急対策について
経済産業省のパンフレットに、事業者に対する国の緊急対策がまとめられています。
日々更新されていますので、随時ご確認ください。
ここでは工務店に直接関係しそうなことを中心に解説します。
国の資金繰り支援
国の資金繰り支援に関しては、大きく分けて
■ 信用保証(信用保証協会枠)
■ 融資(日本政策金融公庫・商工中金)
の2つがあります。
■ 信用保証協会枠
【セーフティネット保証(SN保証)4号】
セーフティネット保証4号は、主に自然災害により業績が悪化した中小企業を支援する制度です。都道府県単位で認可されます。
新型コロナ対策として、令和2年3月2日に全都道府県が対象地域となりました。
ですから、日本全国どこの都道府県の事業者でも申請が可能です。
【セーフティネット保証(SN保証)5号】
セーフティネット保証5号は、業況の悪化している業種の中小企業を支援する制度です。業種に対して認可されます。
令和2年5月1日に、全業種が対象となりました。
【セーフティネット保証4号と5号、どちらを選ぶ?】
セーフティネット保証4号は保証協会の100%保証です(5号は80%)。
しかも一般枠とは別枠なので、使い勝手は大変良いと思います。
金利も低く、かつ利子補給もあります。
新型コロナの影響を受け資金繰りが苦しい場合は、まずセーフティネット保証4号を申し込んでみてはいかがでしょうか。
申請はかなり混んでいるところも多いようです。早めに行かれることをおすすめします。
【危機関連保証】
危機関連保証は、大規模な経済危機などが起こった場合に、売上が減少した中小企業を支援する制度です。
セーフティネット保証4号・5号とは更に別枠(100%保証)が設けられました。
全国・全業種(保証対象業種)の事業者が対象になります。
【セーフティネット保証・危機関連保証の手続きの流れ】
御社の本店のある所在地の市区町村に認定申請を行います。
認定書を受け取ったら、金融機関または都道府県の信用保証協会に行き、保証付き融資を申し込みます。
なお、金融機関および保証協会の審査があります。
【申請書はダウンロードできることも】
「(市区町村名) 融資 コロナ」などで検索すると、各市区町村のホームページが出てきます。
ご自分の自治体のホームページに認定申請書が掲載されていればダウンロードし、必要事項を記入して、窓口に訪問してください。
現地で受け取ってから記入するよりも、手続がスムーズになります。
■ 日本政策金融公庫
【新型コロナウイルス感染症特別貸付】
今回の新型コロナの影響を受けた事業者(個人事業主、フリーランス含む)に対し、別枠の制度が設けられました。
実質的に無利子・無担保となっています。
なお、既に今回の事態で借入を起こしている場合でも、遡及適用が可能です。
つまり、遡ってこの制度が適用されるということです。
【セーフティネット貸付】
セーフティネット貸付とは、社会的経済的環境の変化により一時的に業況が悪化しているものの、中期的には業績の回復見込みがある企業に融資する制度です。
当初より利用要件がかなり緩和されています。
金利の引き下げはありませんが、「売上高○%以上減少」といった要件もなしとなっています。
※紛らわしい名称ですが、信用保証協会のセーフティネット保証とは全くの別ものです。
■ 商工中金
【危機対応融資】
こちらも実質的に無利子・無担保の融資となっています。
4月中旬からの適用ですが、3月19日以降に借入を行った場合でも遡及適用が可能です。
[日本公庫等の既往債務の借換]
政府系金融機関の、日本政策金融公庫、商工中金の既に借りている債務を借り換えることで、実質無利子となる場合があります。
工務店で使える給付金・補助金・助成金
持続化給付金
2020年5月1日より持続化給付金の受付が開始され、5月8日より支給が始まりました。
中小企業や個人事業主も対象です。事業全般に広く使える給付金となっています。
申請は2021年1月15日までです。
2020年1月~12月の間に、売上が前年同月比で50%以上減少した月がある場合に申請できます。
給付額は法人が200万円まで、個人事業者は100万円までです。
基本はパソコンやスマホ等からの電子申請となっていますが、各都道府県にサポート会場も設置されています。
生産性革命推進事業
新型コロナの影響を乗り越えるため前向きな投資を行う事業者への支援(補助金)です。
設備投資や販路開拓、ITツール導入などがあります。
<持続化補助金>
ホームページやパンフレット制作などに出る補助金です。補助上限50万円が、特別枠で100万円となります。
申込後、審査があります。
商工会または商工会議所で申込できます。
持続化補助金については、第107回記事でさらに詳しく解説しています。
→【107】補助金でホームページ制作。申請の流れと活用するポイントとは?
雇用調整助成金
新型コロナの影響により自治体の長が活動の自粛を要請した場合に、事業主に対して、社員などの一定の休業補償をするものです。
新型コロナの影響を受ける全事業主が対象となります。
<特例措置について>
2020年4月1日から特例措置が拡大されています。
大まかには
・休業手当に対する助成率の引き上げ(中小企業4/5)
・解雇等を行わない場合は助成率の上乗せ(中小企業10/10)
・1年間に100日の支給限度日数とは別枠
・雇用保険被保険者ではない労働者も対象(緊急雇用安定助成金)
などとなっています。
なお、特例措置は徐々に拡充されています。(5月1日~)
要件を満たすと助成率100%となる場合もあります。書類も簡素化されつつあります。
厚労省のホームページにて、最新の情報をご確認ください。
都道府県、各自治体による資金繰り支援
国の施策のほか、各自治体それぞれで支援策を出している場合もあります。
中小企業基盤整備機構の「J-Net21」サイトの支援情報ヘッドラインで検索できます。
まだ出てきている途中ですので、ここに掲載されていないものもあると思われます。
各自治体のホームページもあわせてご確認ください。
また、「○○県(市区町村) 補助金(助成金・融資・施策・支援) コロナ」
などを組み合わせてネット検索してみてください。
ご自分の地域のものが見つかるかもしれません。
融資の申込を行う際のポイント
緊急で融資の申込に行かれる方も多いと思います。
その際、何も準備せず行くのと、準備してから行くのとでは大きく違ってきます。
ポイントを少しご紹介します。
基本的な融資の流れ
例えば金融公庫の場合です。
まず、融資に必要な書類一覧を渡されます。
その用意した書類(決算書や元帳、資金繰り表など)を基に、面談で審査があります。
このとき、いわゆる債権区分の「正常先」であり、聞かれた質問にスカッと答えられれば、特に問題なく融資を受けられると思います。
誰でも審査が通るわけではない
しかし、必ずしも財務状況が優良な会社ばかりではありません。
また、決算書の説明を求められても、うまく答えられない社長もいらっしゃいます。
こういった緊急対策は、基本的に税金で賄われます。
そのため通常は、審査はシビアになる傾向があります。
(今回は特に緊急のため、それなりの審査のようですが)
融資する側は、「この人に貸さなければ」という理由、納得材料が欲しいのです。
質問をされたときに社長が答えられないのは好ましくないですね。
財務状況が悪くても、それをきちんと説明できることが大切です。
スムーズに説明するための準備をする
そこで、指示されている資料以外に、説明用の書面を用意することをおすすめします。
内容としては、
(2)毎月の損益実績表と状況の説明
(3)現状と今後の見通しに関する説明
などです。そのうえで資金繰り表を用意し、
・今回の新型コロナ問題で○○となっている
・今後の見通しは○○である
・だから○○となる
・したがって資金が必要である
このように、相手が納得するような、論理的な説明をするよう心がけましょう。
当面の営業方針について
営業活動や現場管理は、地域の状況に合わせて行うよう留意してください。
家づくりに関心のあるお客さまも、多少気持ちが沈むかもしれません。
それでも、ここは現場の衛生面に十分配慮したうえで、明るくやっていきましょう。
納期の確認は要注意
営業面で注意したいのは、問屋やメーカーの納期の確認です。
甘い見通しで契約すると、後で困ることがあるので注意してください。
住宅営業は「住宅ローン減税」がキーワード
いま住宅営業で有効なきっかけは「住宅ローン減税」です。
昨年の消費税増税対策として、従来10年間であった住宅ローン減税が13年間に延長されました。
この3年間の延長は、2020年12月末までに引渡しを受けることが条件です。
2021年1月1日以降は、元の10年間に戻ります。
したがって、本年12月末までに完成引渡しをするためには、遅くとも6月末までに契約する必要があります。
そのためには、お客さまに今から検討していただかなければなりません。
実は2月ごろから、このような動きをされるお客さまが増えているのです。
そこでまず、見込み客や管理客があれば、DMやメール・電話などで来社を勧め、「13年がいかにおトクか」を説明することです。
1件でも2件でも受注につながるように動きましょう。
工務店に見学に来られるお客さまへの対応
(2020.03.21追記)
3月から全国の小中高校の臨時休校が始まり、人々の活動が停滞する心配もありました。
ところが工務店では、お客さまが増加しているところもあるようです。
私がお手伝いしている工務店の社長に伺った話では、このところ「モデルハウスを見学したい」というお客さまからの問い合わせが増えているとのことです。
これは1社に限った話ではなく、国内いくつかの地域で同様の状況があります(もちろん地域にもよります)。
個人的な見解になりますが、
・子どもと一緒に長期間家にいることで、自分の家について考える時間が増えた
・多くの施設も休業のため、出かける場所があまりない
ことも影響していると考えられます。
しかし、総合展示場だと多くのお客さんが出入りしているため、なんとなく不安。
そこで工務店のモデルハウスを訪問する、というケースもあります。
この場合、単独でモデルハウスやショールームをお持ちの工務店さんには有利に働くこともあると思います。
コロナ対策としては、「いつでもお越しください」ではなく「予約制」にしてみてはいかがでしょうか。
各時間帯で1組限定など、他のお客さまと会わないことは、安心材料になります。
今後はまた状況が変わってくるかもしれませんので、引き続き様子を見ながら対策していきましょう。
「3つの密」を避けて営業を
(2020.03.28追記)
東京周辺や大阪周辺は不要不急の外出自粛が求められています。
地方では大都市への移動自粛はありますが、まだそれほど制限されていません。
基本的には、3つの密(密閉、密集、密接)を避ければ行動は原則OKです。
その意味で言えば、プランの打合せや予約制の見学会などは可能となります。
お客さまも、かなりコロナ疲れが出てきています。
どこかに行きたい、でも「3つの密」エリアには行けない。
そう考えると、家づくりを考えるにはちょうどいい、と言えそうです。
マスクやアルコール、換気など衛生管理はしっかりした上で、集客を考えましょう。
くれぐれも最新の情報をしっかり確認しながら対応してください。
<ネット集客に取り組む>
お客さまとの打合せができない場合は、インターネット集客に力を入れましょう。
・ブログの更新
・Instagram(インスタグラム)への写真の投稿
・管理顧客へのDMやメルマガなどの発信
これらは普段忙しくて手がつけられないこともあると思います。
空いた時間を利用して、どんどん作成・投稿しておきましょう。
今やっておけば、必ずお客さまからの反応が来るようになります。
また先述の住宅ローン減税について、意識しているお客さまはかなりいらっしゃいます。
このような情報をブログに掲載しておくことも重要です。
ネット集客については、今までの記事もご参照ください。
→カテゴリー記事一覧:インターネット集客
工事現場の新型コロナ感染症対策について
(2020.04.12追記)
厚労省から「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和2年4月7日改正)が出ています。
国土交通省はこの基本的対処方針に則って、令和2年4月8日付で通達を出しています。
この中で、公共事業の工事現場における新型コロナウイルスの感染予防を徹底するように通達されています。
また、民間事業の工事現場でも同様の対策をとるように要請しています。
住宅建築の工事現場でも感染予防に努めてください。
健康に留意して頑張りましょう。
※状況は時々刻々と変化しています。くれぐれも最新の情報を得るようにしてください。
ご紹介したリンク先も、情報を更新している場合がありますので、時々チェックされることをおすすめします。
コロナ禍における工務店経営については、無料メルマガも参考にどうぞ。
集客やお客さま対応など、工務店がいまやっておきたいことを随時お伝えしています。
読者会員登録ページからご登録ください。
この記事に関するご質問・ご感想・お問い合わせは【工務店経営の専門家・ジクージン】まで、お気軽にお送りください。