
土地の紹介は得意ではないため、これまでお客さまに土地を探してきてもらい、その後建物の打合せをしていました。
しかし、この方法では他社に流れてしまうことも少なくありません。何か良い対策はありますか?
(工務店・50代・スタッフ15名・福井)
新規顧客が減少する中で、土地なしのお客さまと信頼関係を築き、契約につなげること。これは工務店にとって重要な課題です。
家づくりを検討し始めたお客さまにとって、最初の大きな壁が「土地探し」です。
最近のお客さまはネットで土地情報を検索し、気になる物件はすぐに見に行きます。
同時にインスタグラムなどで建物の情報も検討しています。
このように土地を探しつつ、気になる家を建てる工務店を見つけ、現場見学会やイベントに足を運びます。
工務店はそこで初めてお客さまに出会います。この初回面談が非常に重要です。
今回は、これらの背景を踏まえ、工務店の強みを生かして契約につなげる方法を解説していきます。
土地を探しているお客さま(土地なし客)の状況

土地を探しているお客さまは、次のような行動をとっています。
・複数の不動産ポータルサイトで情報を比較検討する
・気になる物件があれば、すぐに現地を確認する
・土地情報の検索に多くの時間を費やせる
・まれに極端に安い土地を見つけることがある
そして、「もっと良い土地があるのではないか?」と迷うことがあります。
つまり、土地の情報は多く存在しても、土地を選ぶ基準や注意点、価格の妥当性について専門家の意見を求めているのです。
一方、建物については、ハウスメーカーや工務店のホームページ・SNSを通じて、理想の住まいを思い描いています。
現場見学会やイベントは、このような背景を持つお客さまと工務店が出会う貴重な機会となります。
工務店側の土地情報に関する対応は?
御社では見学会やイベントの初回面談で土地の相談を受けた際、どのように対応していますか?
多くの工務店では、初回面談の後に土地情報を集めているのではないでしょうか?
しかし、現実は以下のような傾向があると思います。
・むしろ時間をかけて探しているお客さまのほうが、情報量は多い場合もある
・用途地域、学校区、ハザードマップなどの詳細な情報を集めるには時間と手間がかかる
「自社で建てると決まっていないお客さまの土地探しには注力できない」というホンネもあるでしょう。
お客さまは、土地選びのアドバイスを期待しています。
その一方で、工務店側の対応が十分でないというギャップが存在します。
では、工務店として、どのようにこのギャップを埋め、お客さまと最適な関係を築けば良いのでしょうか?
契約につながる、土地なしのお客さま対応方法
1.「家づくりのプロ」として、お客さまの知らない多くの情報を提供する
お客さまは工務店を「家づくりのプロであり、土地情報も持っている」と期待しています。
ところが、初回面談では自分が使っている不動産ポータルサイトと同じ情報しか出してもらえなかった。これでは期待外れに終わってしまいます。
そこで、お客さまが多くの時間を費やして調べた土地情報に対し、プロとして、その場で瞬時に、圧倒的な情報量を提供することができれば、優位に立てることになりますね。
そしてお客さまから「やっぱりプロは違うね」と感じてもらうことが必要だと思います。
不動産情報DXツールの活用で、プロの情報量を提供
その方法として、「不動産情報DXツール」(複数存在します)の活用をおすすめします。
不動産情報DXツールでは、お客さまが希望する地域を入力すると、複数の不動産ポータルサイトの最新情報が一括表示されます。
売り土地情報(登録時期の指定も可能)、学校区、公図、ハザードマップ、売買履歴など、その場で確認することができます。
つまり、土地を探しているお客さまが毎日時間をかけて調べている情報を、瞬時に表示できるのです。(※一部学校区などの情報が表示されない地域があります)
現場見学会やイベントの会場には、必ずディスプレイとPCを用意し、お客さまと土地情報を共有できるように準備しましょう。
2.工務店の「提案力」を最大限発揮する
土地情報の共有ができたら、「建物の専門家」としての出番です。
土地と建物を一体で考える提案力。これこそが工務店の強みです。
これらの情報と提案は、ネット検索だけでは得られない、工務店ならではの付加価値となります。
土地情報の集め方~不動産会社との連携がカギ
インターネット上の情報は、昨日新規登録されたものでも過去の情報です。
しかし不動産会社は、まだネットに公開していない物件情報を保有していることも多くあります。
土地を探しているお客さまの希望エリアで、これから売りに出される物件情報を把握するためには、普段から5~6軒の不動産会社と良好な関係を築いておくことが重要です。
これこそがプロの仕事ではないでしょうか。
初回面談のフロー例
現場見学会など、初回面談での流れは次のようになります。
(1)受付…来場時のアンケ―ト記入
(2)建築予定地の有無の確認(※ここで土地なし客であることが判明)
(3)見学会の建物をご案内
(4)ディスプレイのある席に着座していただく
(5)土地のご希望やこれまでに行ってきた情報収集状況を確認する
(6)「不動産情報DXツール」を見せながらお客さまと情報を共有する
(7)土地と建物の関係を説明する
(8)資金計画についてお客さまと情報を共有する
(9)建物のご要望を確認する
(10)土地情報を連絡するアポイントを取る
Point 1:自社の印象を確かめる
上記(3)で、見学会の建物をご案内しながら、「自社をどのように知ったのか」「Instagramやホームページをどの程度見てきているのか」を尋ねます。
ここで自社に対する好感度をはかることができます。
お客さまが自社のファン、つまり好感度が高ければ、土地が決まるまでの時間も待っていてくれます。
しかし、そうでもない場合は他社に行ってしまう可能性もあります。
Point 2:不動産情報でプロの安心感を
上記(6)の「不動産情報DXツール」を見せながらお客さまと情報を共有する、ここが非常に重要です。
プロとしての優位性を確保すると同時に、お客さまに安心感を与えます。
このフローを初回面談ですべてやりきるには時間的に難しいと思います。
初回は(7)のさわりまでにし、(7)以降は次回のアポを取って進めます。
こうしてお客さまとの関係を深めていきましょう。
※お客さまとの初回面談については、97回記事から順に詳しく解説していますので参考にしてください。
おわりに:プロを感じさせつつ丁寧な対応を
土地を探しているお客さま(土地なし客)にとって、工務店は単に家を建てる業者ではありません。
土地探しから家づくり全体をサポートしてくれるパートナーです。
土地なし客との初回面談では、お客さまと土地に関する情報共有をいかにスピーディーに行えるかが鍵となります。
そのためには、DXクラウドツールの活用が不可欠といえます。
そして、専門性を発揮しつつ、お客さまに寄り添った丁寧な対応を心がけます。
これにより競合他社との差別化を図り、強固な信頼関係を築きます。
そしてお客さまを家づくりの成功へと導く、それが工務店の役割ではないでしょうか。
興味のある方は、弊社までご連絡ください。機能、操作、営業での使い方、費用、導入特典などをご案内いたします。初回ご相談無料です。
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この記事に関するご質問・ご感想・お問い合わせは【工務店経営の専門家・ジクージン】まで、お気軽にお送りください。
用途地域、建ぺい率、容積率といった法規制、周辺環境、地盤、インフラなどを専門家の視点で分析し、お客さまに分かりやすく説明する。
・プランと間取りへの影響
土地の形状、広さ、方角、接道などが、家のプランや間取り、窓の高さや位置にどう影響するのか具体的に提示する。
・周辺環境とライフスタイル
学校区、買い物施設、病院、公共交通機関などの周辺環境情報に加え、お客さまのライフスタイルに合わせた土地選びをサポートする。
・お客さまが気になる土地にその場でプラン提示する
お客さまが見つけてきた土地をネットで確認できるなら、「間取りプラン提案DXツール」の活用も有効。その場で地形と間取りの関係を分かりやすく示すことができる。
以前は時間がないと難しかったプラン提案も、このようなツールによりスピード提案が可能。
・土地購入と建築費など資金計画に関するご提案
近年の建築費高騰により、お客さまは資金計画に非常に敏感になっている。
丁寧に資金計画を説明し、お客さまの安心と信頼を得ることが極めて重要。