他の工務店では、自社で建てる意思を確認しない限り、プランは描かないというところもあるようです。
そんなことしたら、受注どころか、最初からお客さまに逃げられるのではと心配で、つい無料で描いてしまいます。
やめた方が良いでしょうか?
(年商5億円・55歳・工務店・岐阜)
プランを描き始めるタイミングは、なかなか難しいですね。
工務店では、申込をもらってからプランを描く会社と、何度かプランを描いてから契約する会社、2パターンに分かれます。
調子の良いお客さまにうまく乗せられて、描かされるだけ描かされて、最終的に他社で建てられてしまう、というパターンもあります。
こうなると、純粋な工務店の社長さんは騙され損です。
できれば申込をもらった上でプランを描きたい
私は、お客さまが「自社で建ててくれる」意思を確認した上で、プランを描く方向に持っていくようおすすめしています。
プランを描くエネルギーは大変なものです。
それを簡単に反故(ほご)にされるのは、時間の無駄だしショックですよね。
お客さまはより良い家を建てたいので、何社かにプランを描いてもらって見比べて決めたい。その上で契約したい。
でも、それに付き合っていたら、工務店側は身がもちません。
申込をいただいてからプランを描く、そのほうが助かります。
会社単位でルールを決めること
ただ、意思確認の上でプランを描くためには、受注状況に多少ゆとりがあることが条件です。
仕事が減っている状態では、なかなかできないですよね。
心のゆとり、お金のゆとりがないと難しいものです。
それに、今まで無料で何度もプランを描いてきたのに、今日から突然「申込をもらわないと描きません」方式に切り替えることはできないと思います。
ですから、できることから変えていく方向で進めましょう。
「○回まで無料」と線引きする
1度だけ無料で描き、その後は申込をお願いしている工務店さんは結構あります。
1回は難しくても「2回まで無料」「3回まで無料」なら、始めやすいと思います。
「○回まで無料で描きます。それで気に入っていただければ、お申込をお願いしています」
という言い方をしてみてはいかがでしょうか。
自社の感覚も照らし合わせて回数を決め、会社のルールとしてください。
ただ、個人的な見解では、3回までが限度だと考えています。
3回までで納得いただけないお客さまは、おそらく御社とは合わないお客さまだからです。
それ以上描き直しても、契約につながる可能性は低いように思います。
お客さまには丁寧に堂々と答える
また、お客さまから「他の工務店さんは描いてくれたけど」と言われた場合は、
「申し訳ございませんが、私どもではこういうやり方をさせていただいております」
「他社さんのことは存じ上げませんけれども」
などと、丁寧に答えてください。
「そんなことを言ったら、数少ないお客さまに逃げられるのでは?」
その心配はよく分かります。
これはいつもお伝えしていることですが、へりくだった営業をすればするほど、お客さまは逃げていきます。
たとえ自信がなくても堂々としていれば、不思議とお客さまの信頼も得られるものです。
まずは今までのやり方を見直し、できることから始めましょう。
契約までの流れについては、第33回で取り上げていますのでご参照ください。
まずは会う機会を増やし自社のファンになってもらう
いずれにしても、意思を確認するまでのつなぎ、クッションが必要です。
それには、できるだけお客さまのほうから御社の事務所や現場見学会の会場に来ていただくよう導くことが重要です。
そのためのイベント(資金セミナー、土地の探し方勉強会など)を企画し、行います。
資金セミナーについては、第54回で取り上げています。
何度も御社に足を運んでくれたお客さまは、御社のファンになってくれます。
そして、一度ファンになってくれたお客さまは、そう簡単に他社には行きません。
自信を持って、やってみてください。
この記事に関するご質問・ご感想・お問い合わせは【工務店経営の専門家・ジクージン】まで、お気軽にお送りください。