新卒採用をしたいと思っていますが、あまり費用もかけられません。
どのような方法で募集や採用を行えば効率的でしょうか?
(工務店経営・59歳・大阪)
新卒採用に向けては、そろそろ動き始める時期ですね。
大手のような採用専門の担当者がいなくても、できることはいろいろあります。
順番にこなしていきましょう。
2020年度入社の採用スケジュール
新卒採用に関しては、毎年のようにスケジュールが変更になっていました。
経団連では、来春卒業の学生(2020年度入社)に関しては、2019年3月1日に広報解禁、6月1日から選考開始という指針が出ています。
【参考】採用選考に関する指針 -日本経済団体連合会
新卒の学生さんが小規模工務店に来るのか?
「そもそも、地場工務店に新卒者が入社してくれるのか?」という素朴な疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
結論から言えば、「新卒者は来ます」。
総務や経理、営業、設計、監督など採用したい職種は様々だと思いますが、多くの中小工務店さんで新卒採用をしています。
人材不足だから中小には来ない、といったことはありません。安心してください。
どのような人材を採用したいのか?
大事なのは、社長が「どのような人材を採用したいのか」を明確にしておくことです。
「来てくれるなら誰でもいい」という考え方では、応募は期待できません。
たとえ応募があったとしても、採用まで至らないように思います。
なぜなら、就職する側も必死だからです。
「本当にこの会社に自分を預けても良いのだろうか」「きちんとした会社なのだろうか」と不安があります。
そこへ「来てくれるなら誰でもいい」という姿勢では、相手にも伝わってしまいます。
まずは、社長やスタッフで、どのような人材が欲しいかを検討しましょう。
ペルソナの設定と似たような感じです。
合わない人材を採用しても、育たないとか、早々に辞めてしまう可能性があるからです。
何はともあれ近隣の学校に行ってみる
新卒の採用はしたことがない、という社長さんも多いと思います。
そこで、まず近隣の学校の就職課や就職担当者を訪ねてはいかがでしょうか。
今は学校訪問をする企業も増えていますので、概ね好意的に対応してもらえます。
事前にアポイントを取ってから訪問し、基本的な手続きや必要書類などを確認します。
できるなら求人の概要をまとめたものと、名刺、会社案内は持参してください。費用はかかりません。
ホームページに求人方法を載せている学校も多くあります。
ネット登録できる学校も多いですが、直接訪問して社長の人柄や熱意を伝える方が効果的です。
総務や経理には商業高校や短大、営業・設計・工事などは大学、専門学校、高校の建築系などが良いかもしれません。
高卒採用は別ルールなので注意を
高卒採用に関しては毎年ルールが決められており、ハローワークに求人票登録をしていないと学校訪問ができません。
アポイントを取る前に、まずはお近くのハローワークで確認してください。
社長の出身校を訪問する
より効果的な方法の一つに、「社長の出身校」訪問があります。
社長が卒業した大学、専門学校、高校などです。建築科系であればベストです。
「卒業生」であることを申し出れば、たいてい快く迎えていただけます。
出身校も会社も社長の地元であれば、なおさらです。
就職先選びに迷う学生さんたちにとって、「社長が卒業生」「先輩」であることは、安心材料になります。
「地元企業で働きたい」と希望している人も多いため、応募が集まりやすくなります。
心に響く求人を作る
求人票やインターンシップの案内チラシなどの作成は、意外に手間がかかります。
学校に行くと他社のものが就職掲示版に出ていますので、参考にしても良いでしょう。
ポイントは、「御社で欲しい人材」の心に響くように作成することです。
ホームページの人材募集ページも同時に作成します。
学生さんもスマホでチェックしますので、人材募集ページは必須です。
採用に関する法律も変わってきているので注意を
なお、平成27年(2015年)10月1日から「青少年の雇用の促進等に関する法律」(若者雇用促進法)が施行されています。若者が活躍できる環境を整備する取組です。
これにより、ハローワークでは、平成28年(2016年)3月1日以降、「求人不受理」が行われています。「労働関係法令違反があった企業が新卒者の求人をしても、一定の期間は受理されない」措置です。
大学などでもハローワークに準じた取組を行うため、企業の「自己申告書」や、「青少年雇用情報」の提供を求められる場合もあります。
求人に必要な書類や手続きが増えていますので気をつけてください。
詳しくは厚生労働省のリーフレットに掲載されています。書類の書式も載っています。
【参考】若者雇用促進法のあらまし(事業主向け)PDF:5,084KB
インターンシップがおすすめ
採用にあたっては、インターンシップの実施がおすすめです。
社内や現場を体験してもらうと、会社の雰囲気も伝わります。
インターンの実施については、各学校の就職課で申込ができます。
また、それぞれの地域や自治体でインターンを行う企業を取りまとめている場合もあり、専用ホームページから事業所登録ができるところもあります。
自治体によっては、企業がインターンを行う際に補助金を交付している場合もあります。
「○○市 インターンシップ」などで検索し、調べてみてください。
なお、インターンを有効活用するには、会社そのものがしっかりしていることが大切です。
社内が整っていて、スタッフもいい印象であれば、「この会社に入りたい」となります。
しかし、そうでもない場合は逆効果になるので気をつけてください。
会社の仕組みを整えることが大切
採用した後は、「教育の仕組み」が必要となります。
今の若い人たちは、大人としての成熟が遅い、幼い傾向にあります。
ですから、会社で教育をしないと戦力にならないのが実情です。
これは大手企業でも同じ問題が起きています。
と言っても、中小工務店さんでは教育担当者もなかなか置けないものです。
そこでまずは「社長が教育者」となることです。
社長業をしている限り、スタッフを教育するのも社長の仕事です。
さらに「勉強するツール」を作ることです。
手順がある程度決まっている作業であれば、マニュアルで対応できます。
若い人を採用すると、社内も活気が出るものです。
ぜひ、人材を育てて、これからも活躍する工務店を目指してください。
(追記)
弊社でも現在、人材育成マニュアルのシステムを構築しておりますので、興味のある方はお問い合わせください。
この記事に関するご質問・ご感想・お問い合わせは【工務店経営の専門家・ジクージン】まで、お気軽にお送りください。