数社、ホームページ制作会社に見積を取ったところ、制作費に50万円~100万円、維持費が毎月2万円~5万円もかかるようです。
正直悩んでしまいます。なるべく安くなる方法はないでしょうか。
(工務店・50代・宮城)
ホームページを新しく作り替えるのは、とても良いと思います。
いま新築を考えているお客さまは家づくりの情報をどこから得ているのか? といえば、やはりインターネットです。
スマホで見やすいホームページが必須
新築世代とは、30歳前後のご夫婦を指します。
今この世代は「ミレニアル世代」と呼ばれ、インターネット環境の中で育ってきました。
そのため、デジタル機器やアプリに対して抵抗がありません。
一方で新聞はほとんど取っていませんから、折込チラシの効果は弱くなります。
お客さまはスマホで御社の情報を見ている
情報収集に熱心なのは、ご主人よりも奥さまのほうです。
その手段はパソコンでもタブレットでもなく、圧倒的にスマホです。
したがって、スマホで見やすいホームページが必須となります。
5年以上前に作られたホームページは、スマホに対応していないばかりか、未だにSSL化(セキュリティ対策)されていない場合もあります。
早急にホームページを作り直して、集客に役立てましょう。
スマホ対応・SSL化については、第70回で取り上げていますのでご参照ください。
ホームページ作成に使える補助金の活用を
さて、ホームページ作りの費用についてですが、利用できる補助金があります。
「小規模事業者持続化補助金」という制度です。
独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が行っています。
中小機構が運営しているJ-NETに詳細が出ています。まずはざっとご一読ください。
参考
小規模事業者持続化補助金 -中小機構
制度の対象となる取組みは?
この制度の対象となるものは、「販路開拓等の取組み」と「業務の効率化」です。
販路開拓では、例えば新商品を陳列するための棚の購入、販促用のチラシの作成・送付、販促用のPR(マスコミ媒体、ウェブサイト)、ネット販売システムの構築などです。
業務の効率化では、倉庫管理システムや労務管理システムの導入などが対象となります。
工務店の場合、
・ホームページのリニューアル
・パンフレットの制作
などの販路開拓にかかる費用の補助が実用的です。
対象となる会社規模
対象となる工務店の規模は、常時使用する従業員の数が20人以下となります。
また法人だけではなく、個人事業者も対象となります。
したがって、個人でやられている職人さんも申請できます。
補助される金額は?
[補助率]補助対象経費の3分の2以内
[補助上限]原則50万円
補助対象経費が75万円の場合、補助金額はその3分の2に当たる50万円となります。
仮にホームページ制作費用が80万円とすると、補助金で出るのは50万円、自己負担が30万円となります。(消費税は別途かかります)
なお、令和2年度の補正予算で、特別枠として補助上限100万円となるコロナ特別対応型が出ています。
いつ入金するの?
ホームページが完成したら、まずホームページ制作会社に制作費全額を支払います。
その上で補助事業が終了した段階で、精算にかかわる手続きを行った後、補助金が入金されます。
つまり、先に経費を負担し、後から補助金が入金されることになります。
※ほとんどの補助金・助成金は、先に事業者が負担し後から入金となるパターンです。
小規模事業者持続化補助金 申請の大まかな流れ
では、申請の流れについてです。
1. 担当となる窓口を確認する
窓口は、地域の「商工会議所」か「商工会」になります。
「商工会議所」と「商工会」は別組織です。最初に窓口の確認をしましょう。
(1)インターネットで「(本社のある地名) 商工会議所」で検索し、出てきたところに電話をします。
(2)「小規模事業者持続化補助金を使いたいのですが」と問い合わせをしてください。
すると「御社の場所ですと、商工会さん(または商工会議所さん)のほうです」などと担当窓口を教えてもらえます。
2. 対象事業者かどうかを確認する
この補助金の対象事業者は「小規模事業者」となっています。
「常時使用する従業員の数が20人以下」ですが、これはパートさんも含まれます。
人数がぎりぎりの場合もあると思います。
申請の準備を始める前に、担当窓口に電話し、自社が対象事業者かどうかを確認しておきましょう。
3. 直接訪問して申請の流れを確認する
ここでは申請の目的を「ホームページをリニューアルしたい」とします。
しかし、ただホームページを作り直すだけでは補助金は出ません。
作り直すことでどのような改善が見られ、最終的に経営にどのように寄与するかを経営計画で策定しなければなりません。
「えっ? ホームページ作るのに経営計画がいるの?」と思われるかもしれませんが、経営数値や改善目標は必要になります。
アドバイスがもらえるのでご安心を
「経営計画を作ったことがない」という社長でも心配いりません。
窓口の担当者からアドバイスをもらえます(もちろん無料です)ので、勉強になるのではないでしょうか。
初めての場合は、何度か足を運ぶことになると思います。
進めていくうちに、「ホームページをどのように使って集客するか」という当初の目的が明確になってくるはずです。
なお、締切がありますので、時間に余裕をもって準備しましょう。
4. 申請書類の完成・提出
何回かレクチャーを受けて申請書が完成したら、担当窓口で実行支援の承認をしてもらえます。
その書類を添付して、商工会議所本部または商工会連合会本部に郵送します。
5. 各所で審査、そして採択
本部で審査されます。採択までに1.5か月~2か月程度かかります。
「補助金交付決定通知書」が届いたら、制作会社に発注が可能となります。
この書類が届く前に発注したものは対象外となってしまいますので、注意してください。
あくまでも採択をされてからの発注となります。
ちなみに2019年は、採択率は80%以上とのことです。
申込は年4回
現在実施されている一般型は、「令和元年度補正予算」分です。
年に4回、締切があります。
公募スケジュール
公募開始:令和2年3月13日(金)
[第1回受付締切]令和2年3月31日(火)
[第2回受付締切]令和2年6月5日(金)
[第3回受付締切]令和2年10月2日(金)
[第4回受付締切]令和3年2月5日(金)
なお、コロナ特別対応型は「令和2年度補正予算」分です。
今後も複数回、公募が行われる予定とのことです。
申請書類について
インターネット上に申請書類が用意されています。担当窓口により若干書式が違います。
該当する窓口の申請書をダウンロードしてください。
一般型とコロナ特別対応型があります。
ホームページ制作で補助金を申請する際のポイント
すでにホームページを運営されている方ならお分かりだと思いますが、単にホームページを公開しただけでは、集客はできません。
「ホームページを制作することで、どのように集客ができるのか」を説明するのがポイントです。
例えば、
- 今までのホームページでは、SEO対策としてブログ投稿を集中的に行っていた
- ところが家づくりを考えている世代のお客さま(奥さま)はスマホで情報を集めており、しかもInstagram(インスタグラム)が中心になっている
- そこでInstagramからホームページに誘導し、そこからお客さまとの接点を作る仕組みをつくる
こういった内容を具体的に明記すると良いでしょう。
まずは補助金・助成金の申込をしてみることが大切
とりあえず、何でもいいので補助金・助成金の申込をしてみましょう。
なぜ「何でもいい」のか? それには理由があります。
自治体は情報を伝えたいのに伝わらない
国の年度予算には、必ず補助金・助成金があります。
予算が成立すると、国の担当省庁から都道府県に補助金・助成金予算がおりてきます。
各自治体の担当者は、その補助金・助成金の予算を有効に使わなければなりません。
そこで自治体は、補助金・助成金についての広報をします。
しかしその情報は、本当に必要な社長にはなかなか届きません。
一方で、忙しい社長は、自社に合う補助金・助成金を探している時間がないのです。
こうしてミスマッチが起こります。
馴染みの企業には声がかかる
そこで、予算消化をしなければならない自治体は、以前補助金を使ったことのある企業に「こんな補助金がありますが、使いませんか?」と声をかけます。
このような仕組みになっているのです。
最初は手間がかかり、本当に面倒だと思います。
でも一度受給できれば、役所のほうから声をかけてくれるので、必要なものを利用すればいいのです。
担当窓口は親切に教えてくれますから、そのうち要領がわかるようになります。
余談ですが、先日私どもで、ある工務店さんのホームページに関してこの小規模事業者持続化補助金の申請を行いました。
手間はかかっても、補助金で制作費の3分の2を負担してもらえるのは経費軽減になり魅力です。
事前に調べて申請書を作りこんで行ったのですが、やはり修正箇所はあるものです。
担当の方からアドバイスを受け何度かやり取りをして修正し、手続きは終わりました。
というわけで、まずはトライしてみましょう。
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