どうすれば定着するでしょうか?
(工務店経営・43歳・社員数10名・石川)
人材採用も大変ですが、定着させることも大変ですね。
特に最近の若い世代、Z世代(ゼット世代)に対しては、彼らの価値観や感性を理解して採用し、その上で育成していくことが大切です。
では、どうすればZ世代の人材を定着させられるかを考えてみたいと思います。
Z世代とは?
Z世代とは、1997年から2012年に生まれた世代を指します。現在26歳までの社会人に該当します。
彼らはデジタルネイティブ、つまりスマートフォンやSNSが当たり前にあり、最新のコンテンツやアプリで情報を早く取り入れ、活用してきました。
そして、SNSを通じて互いに「いいね」をつけることで「承認欲求」を満たしています。
ちなみに彼らはネット上にある情報をかなり選別し、良い悪いを判断する能力も持っています。むしろ危険なのは中高年の方かもしれません…。
一方で、バブル崩壊後の失われた30年しか知らず、親世代の堅実的なやりくりを見て育っているため、お金やキャリアに対して保守的で堅実な考えがあります。
また、リーマンショックや東日本大震災など大きな災害を見てきており、社会貢献への高い意識があります。
さらに社会の多様性を受け入れる姿勢もあります。
これらの経験が、仕事をする際にも大きく影響することは言うまでもありません。
Z世代はコミュニケーション能力が高く、創造性があり、チームワークを重視する傾向があります。
彼らは会社にとって非常に有益な人材なのです。
Z世代を定着させ、戦力化する7つの方向性
(1)丁寧なコミュニケーション
Z世代は、オンライン上でのコミュニケーションに慣れ親しんでいるため、社内でもコミュニケーションを重視します。彼らはリアルタイムでもフィードバック(例えば「いいね」)を求める傾向があります。
これに応えるために、上司や同僚との定期的なフィードバック、ミーティングの実施、メンター(上司以外の相談者)の設置など、コミュニケーションの機会を設けることが重要です。
一方で、全てをチャットで終わらせるような自分流のコミュニケーション手段にこだわりすぎる傾向もあります。
これは顧客や業者へのコミュニケーションが不足する原因にもなります。
コミュニケーション手段について、丁寧に視野を広げる指導も必要です。
(2)個性の尊重と承認欲求
SNSのコミュニケーションで自分の意見や考えを発信、それに対する「いいね」により承認欲求を満たしてきているため、「自分の個性や存在を認めて欲しい」という考えが強い傾向があります。
一方で、他人を傷つける発言以外は、多様な意見があるのは当たり前という感覚があり、人の意見に耳を傾けることができます。
会社が、彼らの多様性に気づかず、押し付けるような発言を繰り返すことは避けたいものです。
(3)新たな仕事にチャレンジ
新しい仕事に挑戦することで、彼らは成長し続けます。彼らは創造性があり新しいアイデアを出すことは得意としています。
しかし、会社が昔からのやり方に固執したり、新しいものに対して拒絶するような姿勢をとると、彼らのモチベーションは下がり、退職も考えます。
新しいアイデアを尊重し、今までのやり方のどこをどのように改善すればより良くなるかを、多少時間をかけて話し合い、やり遂げることが重要です。
メインの業務が営業や設計、工事監督であっても、次の人材採用の一次面接を担当させたり、業者会の運営を任せたりすると、従来にない新しい視点で改革の提案が出ることもあります。
まずは経験が浅くてもできる仕事に挑戦してもらいましょう。
(4)フレキシブルな働き方
Z世代には、従来のような固定的な働き方ではなく、フレキシブルな働き方を導入していくことも検討しましょう。
例えば、リモートワークやフレックスタイム制度の導入、設計から現場監督、次は営業と業務ローテーションを実施するなど、マルチな人材を育てるような仕組みも良いでしょう。
(5)明確な社内ルールと運用
Z世代は、会社内の合理性を求めます。
ルールの明確化、公平かつ透明な評価、改善のためのアドバイスはもちろん、自身の成長につながる研修制度なども整えていきましょう。
就業規則、目標管理評価制度(期初に目標を設定し、期末にその評価をする)、それに連動する賃金制度、将来に向けたキャリアパス制度など「この会社にいれば自身の成長や将来に向けた夢が持てる」という環境づくりが必要です。
(6)キャリアパス制度
Z世代は、自分自身の成長と学びに関心を持っています。
キャリアパスとは「成長への道筋」の意味。それを制度化したものが、キャリアパス制度です。
社内にキャリアパス制度を用意し、研修や成長の機会を設けることで、将来に向けての成長意欲を刺激し、会社にとって必要な人材に育っていきます。
工務店の場合、建築士や施工管理技士、宅建など各種資格の取得を推奨し、資格取得後にその費用の一部を負担する制度は導入しやすいと思います。
(7)社会貢献活動
Z世代は社会貢献に対する意識が高いのも特徴です。
ここ数年、学校ではSDGsに関する教育が進んでいます。大学の就職指導課などでは、就職先を決める際のポイントにSDGsの取組みを確認するよう指導しています。
SDGsを掲げる工務店は増えています。しかし、ホームページに掲載していても実態が伴わないものは、Z世代には響きません。
SDGsに限らず、会社が社会貢献活動を支援することで、Z世代の意欲も高まります。
ボランティア活動の支援や、社会貢献に関する取組みを行うことが効果的です。
まとめ:社長も会社も柔軟に
いかかでしょうか。体育会系のような上下関係が厳しい会社組織ではなく、広く意見を聞くオープンな企業風土のほうが馴染む感じです。
この傾向はZ世代に限らず、その上のミレニアル世代にも当てはまります。
指導する側としては、今ならサッカー日本代表の森保監督や、野球のWBC日本代表の栗山監督のイメージ、というと分かりやすいでしょうか。
Z世代は会社にとって非常に有益な人材であり、長期的な雇用を望む人も多くいます。
会社は、彼らの特徴に合わせた働き方や環境を提供し、共に成長することが大切です。
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